第8回海外渡航者の健康を考える会大会

以下はMicrosoft Word で作成された抄録です。

アルコール中毒問題⇒ 8aruko-ru.doc

トラベルクリニックの運営⇒ 8unnei.doc

女性と海外赴任⇒ 8jyosei.doc

一般演題1&2⇒ 8enndai.doc

ランチョンセミナー「活性酸素消去米の開発について」⇒8kasseisannso.doc

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ダウンロード出来ないPC環境の方は以下をご覧ください。

アルコール中毒問題(抄録)

アルコール依存症とは

     独立行政法人 国立病院機構 久里浜アルコール症センター 

精神科診療部 リハビリテーション科医 西岡直也

アルコール依存症とは、アルコールを調節して飲むことができず、精神身体的に依存が形成される病気である。その経過は慢性的で、進行性であり、精神的問題、身体的問題、経済的問題、仕儀上の問題、家族を含む人間関係の問題を生じ、次第に病像が複雑化してくる病気である。

アルコール依存症の人にみられる飲み方としては、昼酒、隠れ酒、迎え酒、連続飲酒などがある。

過量飲酒を続けると、振戦せん妄や幻覚、てんかん発作などを起こすようになる。また、肝障害、食道静脈瘤、膵炎、多発性神経炎、糖尿病、高血圧、心筋症なども合併するようになる。

治療の目標は、断酒の継続である。断酒とは、アルコールを一滴も飲まないということである。アルコールを適切に調節して飲むことができない病気であるから、節酒、すなわち量を減らして飲んだり、飲む回数を減らすというような方法では、以前のような飲み方に戻ってしまうので、治療の目標にはなり得ない。

治療目標は、断酒の継続であり、明確であるが、アルコール依存症の人は、自分が依存症になっていることを認めたがらない。したがって、断酒への動機づけが、治療の第一歩になる。一度、断酒を決意したとしても、それを継続することは難しい。再飲酒をしないようにするには、人間個人の力はあまりに無力である。そこで、断酒の3本柱といって、1.通院の継続、2.抗酒剤の服用、3.自助グループへの参加、を治療の柱としている。通院は、断酒継続の意思確認に役立つ。抗酒剤を、飲酒をすると嫌悪反応を引き起こす薬であり、断酒継続の支えとなる。自助グループへの参加は、同じ問題を抱える者同士が支え合う効果がある。

いったん形成されたアルコール依存症に必ず断酒できる方法というものは知られていない。このため、アルコール依存症に進展しないための予防活動が重要な意味を持ってくる。学校や職場での酒害教育、誤った飲酒慣行や文化の是正なども必要である。

アルコール関連問題は、医療機関だけでなく社会全体で取り組んでいかなければいけない問題である。

海外勤務とアルコール問題

             在中華人民共和国日本国大使館

                 勝田 吉彰

海外駐在生活におけるアルコール問題は、その国の気候・風土・習慣・娯楽施設も含めた社会資本・宗教・政治的背景等々、さまざまな条件によって異なる側面をもつ。演者は外務省医務官として、厳格なイスラム国であるスーダン、ワインで名高いフランス、フランスの影響の濃いイスラム国セネガル、そして独特の酒礼文化をもつ中華人民共和国に在勤し健康管理にあたり、その中で、アルコール問題に関し若干のケースを経験した。

厳格な禁酒国の多くでは、娯楽施設の不在や治安の問題等から、終業後や週末の選択肢が少ない。また、アルコール類の一般販売は禁じられている一方で、駐在外国人の社交用に欧州から酒類を配送するロジスティック会社が存在し、各種洋酒の入手が可能である上に、その注文受付単位・配送料の関係から大ロットの注文にならざるをえず、その結果出現する「所在なき時間と自宅の酒類大量在庫」の組み合わせが問題発生の芽をはらんでいる。

逆に、昼夕とわず「食事中の飲酒を当然とする文化」にある国では、本来の酒場以外にも飲酒へのアクセス機会は非常に多岐にわたり、その中で問題飲酒者が禁酒を貫くのは極めて困難な条件下にある。この様な国では、航空機内(上級クラス)の客室乗務員が、禁酒中の乗客に対して各種高級酒を繰り返し熱心に勧めて飲酒機会をつくってしまった例さえ見聞した。

取引・交渉相手とは、宴会席上で「アルコール類の高い酒類を飲み干す(乾杯)」作業を何十回も繰り返して初めて人間関係作りが可能となる独特の酒礼文化を有する国では、その国に関わる初期段階から宿酔いに悩まされることになる。この様な「自分のペースではない、苦痛を伴う飲酒」を繰り返し余儀なくされる条件下では、「帰宅後独りで飲酒」するモチベーションは低下し、結果として飲酒問題を見聞きする機会は比較的少ない。

当日は症例も交じえ、アルコール問題に影響する諸因子について考察する予定である。

トラベルクリニックの運営(抄録)

第2回海外渡航者健康学会
シンポジューム「トラベルクリニックの運営」

座長

       濱田篤郎(海外勤務健康管理センター)

       木村幹男(国立感染症研究所)

海外渡航者の急増にともない、日本でも旅行医学への関心が高まっています。こうした旅行医学の診療部門として、欧米諸国ではトラベルクリニックが数多く設置されており、海外渡航者を対象に健康指導を行ったり、予防接種、予防内服などが実施されています。しかし、日本国内ではこの種の施設が未だ充分に設置されていないのが現状です。

そこで本シンポジュームでは、すでに国内でトラベルクリニックを運営されている先生方に、その概要をご紹介いただくとともに。今後、日本でトラベルクリニックを展開するための方策を検討したいと思います。


国立国際医療センター 渡航者健康センターの現状について

国立国際医療センター 渡航者健康センター

源河 いくみ

 平成15年3月18日に開設され約1年間診療を行ってきた当院のトラベルクリニック─渡航者健康センターの現状、今後の課題について報告を行う。

 外来は、週2回のみで行われていて、その診療内容は、1.渡航前後健康診断、2. ビザ取得のための健康診断書の作成、3.予防接種、予防内服薬の投与、4.渡航相談などである。

 現在までのべ受診者数は、初診:503人、再診:508人、合計:1011人で渡航先は中国が最も多く、その他は、東南アジア、米国、ヨーロッパ、アフリカ、中南米となっていた。渡航目的は仕事(44%)と最も多く、ついで留学(23%)、家族(21%)であった。医療提供状況は、診断書作成(59%)、予防接種(31%)であったが渡航相談は、2%にとどまった。

 予防接種については、途上国に渡航するときに推奨される、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風の接種が多く行われていた。

 外来開設後、約1年が経過したが、週2回のみの外来でありながら多くの方が受診され日本でもトラベルクリニックのニーズは十分にあることが確認できた。しかし、診療内容はビザ取得のために必要な診断書作成や予防接種が多いのに対して渡航相談はかなり少ない。このような現状をふまえた今後の課題は、医療面では、現在ニーズの多い健康診断や予防接種をさらに充実、円滑にできるような体制作りを行うことである。また、医療相談を充実させるために効果的な海外医療情報の収集やそれぞれの相談内容に対して適切なアドバイスができるように院内、院外の専門医に相談できるネットワーク作りも重要と思われる。

当センターは開設したばかりでまだ問題点は多いが将来は、現在行っている診療を充実させるとともに、健康者に限らず、疾病を持った渡航者に対しても、十分な健診を行い、専門医の連携による適切な渡航に関するアドバイスができることを目標としていきたいと考えている。

外渡航者健康学会・シンポジウム

「トラベルクリニックの運営」
長崎県におけるトラベルクリニックの開設にあたって

 国立病院機構長崎医療センター

 矢野公士 (やのこうじ)

目的

近年海外渡航者数は急増し、年間約1700万人とされる。長崎県ではその数は年間10万人前後であるが、上海、ソウルへの直行便が存在し、企業からの途上国への技術者派遣も定期的に行われている。平成14年出国者99,150人中58,634人(59.1%)の渡航先がアジアという特殊性もある。このような地方都市において旅行外来を開設し、その意義を検討する。

方法

2003年4月、国立長崎医療センターにおいて九州初の海外旅行外来を開設し、旅行前相談、予防接種、英文診断書発行を3本柱とした業務を開始し、各業務についてホームページ上で案内を行った。予防接種の種類としてはA型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎を取り上げ、完全予約制の元、問屋と調整の上2日以内の供給を可能とした。

結果

開設後一年間の相談件数は20人未満とさほど多くなく、相談件数の大部分は入国に際しての英文診断書発行であり、自発的な健康状態の確認や、ワクチン接種はさらに少なかった。さらに、相談者の大部分は事業体からの強制的な受診であり、自発的な旅行前相談は極めて限られていた。情報提供不足と共に、旅行外来そのものの知名度が低いことが大きな要因と考えられた。

結論

本邦においては健康な人が旅行に出かける前に、渡航先にあわせた健康管理を行うという習慣がなく、特に地方都市においてはトラベルメディスンの情報、これに対する旅行者の認識が共に不足している。今回の検討からは、インターネットによる広報のみでは不十分であった。今後は長崎大学熱帯医学研究所や旅行業者等ともタイアップし、海外旅行前後の健康管理の必要性を啓発し、旅行外来を充実させる必要があると考えられる。

「海外渡航に必要な予防接種」

宮津光伸    名鉄病院予防接種センター

近年、海外渡航者の急激な増加と感染症に対する認識の向上から、渡航に際しても予防接種を希望して来院する人が増えている。渡航前の短期間に必要な予防接種をするには、同時接種も絡めて要領よく適切な接種計画を立てることが大切である。

 渡航目的(留学・赴任・旅行)、渡航時の年齢(乳幼児・小中高生・大学生・30歳前半・それ以上)、渡航期間(1週間程度の旅行・1〜2年間程度の留学・短期の出張・数年間の長期赴任)、渡航先と生活(先進国・途上国・パックツアー・冒険旅行)、渡航までの期間(1週間以下・2〜3ヶ月間・6ヶ月間以上)、一時帰国の有無と時期など、様々な要素に沿った接種計画を立てて実践する。

 乳幼児期の海外の定期接種は、日本の定期接種とは種類や接種回数や考え方が全く異なる。予防接種に対する考え方の差をよく理解し、この不足分をできるだけ日本で追加接種し、現地での入学に支障のないような適切な英文証明書を用意する。英語版や各国語版の母子手帳は、日本の予防接種記録の焼き直しにすぎず、また予防接種記録の単なる英訳では証明書にならない。業者の用意した書類や大学からの書類は、時に理解不足や一方的な内容のものがあり、それだけでは本人がトラブルに巻き込まれる可能性があるのでよく吟味して作成する。特にツベルクリン反応の取り扱いには注意を要する。麻疹・風疹・ムンプス・水痘の感染症については、適切な抗体検査をしてから不足分を追加接種する。?患記録だけでは免疫証明にならない。

 30歳代後半では、破傷風トキソイドの接種経験がないので2回の接種を、それ以下ではDPT世代なので、破傷風またはDT2混で1回追加接種する。A型肝炎は一部の先進国を除き2回は摂取しておく。その他、国や地域に応じて日本脳炎、狂犬病、B型肝炎、ポリオや黄熱など要領よく計画し、必ず英語表記の接種記録を作成持参させる。

                            名鉄予防接種センター

                           宮津光伸

                         【外来日】月・火・木曜日 12:45〜15:00予約不要                        15:00〜16:30要予約

                                金・第一土曜日 9:00〜11:30要予約        

「トラベルクリニックの運営」

 独立行政法人 労働者健康福祉機構

 海外勤務健康管理センター

                                 古賀 才博

海外勤務健康管理センターは海外勤務者の健康管理を総合的にバックアップする国内拠点として労働者健康福祉機構が平成4年6月に開設した施設です。一次及び二次予防に重点をおいた支援を行っており、主な業務を下記に示します。

渡航前の支援システム

1. ホームページによる情報提供(http://www.johac.rofuku.go.jp/)
2. 国内からのFAX相談(045-474-6098)
3.  渡航前の健康診断
4. 健康診断時の医療相談(メンタルヘルスを含む)
5. 渡航者へのフロッピーディスクによる健康診断の結果情報提供
6. 予防接種、予防内服および相談
(A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、腸チフス、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、ジフテリア、
日本脳炎、腸チフス、髄膜炎菌性髄膜炎、マラリア予防内服、ツベルクリン反応)
7. 診断書作成
(中国就労ビザのための診断書、学校入学のための診断書、英文の予防接種証明書、
英文診断書の作成代行など)

渡航中の支援システム

1.  一時帰国時の健康診断
2. 海外からのFAX (045-474-6098)、e-mail (hot@johac.rofuku.go.jp) による相談
3. 海外巡回健康相談への支援
4. 友好提携病院に勤務する医師、看護師の研修
5. 友好提携病院とのインターネット回線を用いた医療相談

帰国後の支援システム

1. 帰国後の健康診断
2. 熱帯病等に関する特殊検査

現在、渡航中の健康支援対策の充実に向けて、様々な取り組みに力を注いでいます。

 女性と海外赴任(抄録)

「転勤妻」を立ち上げて 

   「転勤妻」運営主宰者 大向 貴子

海外転勤 ? 一見華やかなイメージばかりが先行しますが、その中では実にいろいろなドラマが繰り広げられています。
経済大国と言われ続ける日本。
多くの企業戦士たちが海外へ飛び出し、豊かな日本の発展に大きく貢献してきたことは間違いありません。
しかしその繁栄の影には慣れない海外で夫を支えた妻たちがいたことも事実です。
現在、女性の社会進出が著しい日本で女性が結婚し、子供を産み育てながら仕事を続けることが驚くことではなくなりつつあります。
その一方、夫の転勤によりキャリアをあきらめ帯同する道を選ぶ妻たちは今も少なくありません。
そうした夫の海外転勤に伴った妻たちが「転勤妻」です。
私自身も以前、夫の仕事で誰ひとり知る人のいない異国の地へ行きました。
やりがいのあった仕事を辞め、海外で自分という存在価値を見出せないつらく孤独な日々が続きました。
そのときに「このような状況におちっているのは私だけなのだろうか」と強く感じたのです。
きっと追い詰められた状況の中で「あなただけではない」ということを誰かに言ってもらいたかったのだと思います。
住んでいる国は違っていても、転勤妻という境遇としての苦悩や不安は同じだということを知ることができればどれだけ気持ちが楽になるかわかりません。
帰国後、忘れられないその思いから「転勤妻」www.tentsuma.com というサイトを立ち上げ今日にまで至ります。
転勤妻掲示板には世界中から数多くの転勤妻たちの声が日々たくさん届いています。
その声の一部を出発前から帰国にいたるまでの妻たちの声や悩みをお話ししたいと思います。

構成:

・ はじめに
・ 辞令を受けて
・ 出発前
・海外生活がスタート
・ あなた自身が作る海外生活

                  2004年7月9日(金)(於:東京家政大学)

第8回 海外渡航者の健康を考える会大会

女性と海外赴任    イラン・イスラーム共和国での経験

                    神戸大学大学院法学研究科博士後期課程

                  (鹿児島大学,大阪外国語大学非常勤講師)

                    森田 豊子(toyoko@kobe-u.ac.jp)

1. 調査・研究のための海外赴任

 1999年および2002年の2回に渡って、合計約1年間、イラン・イスラーム共和国へ研究のために滞在いたしました。今回は、主にその時の経験に基づいたお話をさせていただきます。一度目の滞在は単身で、二度目は、夫と1歳になったばかりの娘の3人での滞在となりました。

 ある程度予想はしていたものの、単身での滞在と家族とともに滞在する場合とでは、生活環境への適応その他に関して大変異なっていることに改めて気がつきました。その違いについて、具体的なエピソードをもとに、まずは、お話しさせていただきたいと思います。また、現地に家族で滞在されている日本人家族から聞いたお話などとも比較しながら、駐在員の家族として滞在する場合と研究者として滞在する場合との違いについても考えていきたいと思います。

2. 子どもの医療

 二度目の滞在の場合は、1歳になったばかりという幼児を連れての滞在で、子どもを現地の保育園に預けながらの研究活動となりました。医療機関を比較的よく利用する幼児を連れての海外赴任における問題点について、具体例を挙げながらお話します。

3. イスラーム国家における問題

 ご存じのように、イランはイスラームの国家であるため、外国人であっても女性にはヴェールの着用が義務づけられ、様々な場面で男女隔離が見られる場所であります。そのような場所において、女性として滞在する時に生じる問題などについても、お話する予定です。

第8回海外渡航者の健康を考える会大会

シンポジウム(1)<女性と海外赴任>
体験を通してみる各国における事情  

 外務省診療所 丸山千佳         

 海外赴任者の中で家族としてではなく、自分自身が仕事で赴任する女性は増えている。
外務省関係では昭和50年には女性の比率は3.2%であったが年々増加し、今年は14%と増えている。各国際機関への日本人女性の参加も実数、比率共に上昇している。
原則的にはどの国も仕事において男女の違いはない。以前はイスラム国では女性の赴任は見送られることもあったが、現在は何人かのアラビストも女性で単身でも赴任している。
 唯一現在も制限があるのは、戦闘地帯で、現にイラクには女性は今のところ赴任していない。しかし、自衛隊では女性隊員が参加しているし、アフガンには女性職員が赴任している。
 実際の仕事上では、女性に対する見方に偏りのある国も多く、特にイスラムの教えが厳しい国々やアフリカでは困難が多い。
 仕事以外では妊娠した場合が特殊である。女性職員が妊娠した場合は、帰任となることが多い。妊娠は病気ではないが、いつ異常事態が発生するかわからず、医療条件が悪いところ等リスクがある。また、産休育休の間の応援が得にくい等がある。
 日常生活でも多くの不便があるが、女性特有とすれば、途上国でトイレが十分完備していないことである。アフリカ等で地方への出張の場合、困ることが多い。
 反対に女性であるために良い思いをすることがある。レディーファーストが伝統の国々では、良い思いをすることが多い。

 一般演題1&2(抄録)

中国での邦人緊急医療の実情

(海外渡航者の健康を考える会のシンポジウム抄録)

陳根栄、広瀬茂、津枝克典、程華
上海ウェルビー医療支援会社

大利昌久
海外邦人医療基金(顧問)
長崎大学(客員教授)

 中国には、約4,100社を超える日本企業が進出し、多くの邦人が勤務している。外務省の資料だと、在留邦人数は、過去最大を記録し、約8万人。これは、米国に次ぐ邦人数を占める。

 2000年から2003年の4年間にわたる、上海ウェルビー医療支援会社の記録をもとに、邦人緊急医療の実情をまとめた。

 2000年41人、2001年50人、2002年69人、2003年77人で、毎年取り扱い人数は増加。4年間で237人を扱った。4年間を通し、中国在住の駐在員、日本からの出張者の占める割合が高く、2000年23人(12人、11人)、2001年31人(15人、16人)、2002年39人(19人、20人)、2003年61人(33人、28人)、総計153人(79人、74人)で、65%を占めた。

傷病別件数では、4年間を通じ、心疾患62人(26%)、脳疾患53人(22%)など、生活習慣病の悪化が占める割合が高い。心疾患は、突然死、急性心筋梗塞など。脳疾患は、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などだった。その他、外傷、交通事故、自殺、感電死などがみられた。

緊急例の処理別解析では、237人のうち、遺体搬送55人(23%)、現地火葬35人(14%)と死亡者を扱った件数が90人(35%)と割合が高かった。その他、緊急搬送86人(36%)、専用機搬送19人(8%)、入院など41人(17%)だった。年代別に分けると、遺体搬送、現地火葬などの死亡者は、50代、60代に多く、緊急搬送は50代に多かった。

2003年度、重症にて専用機搬送例は5人。肺塞栓の30代の1例を除くと、すべて50代で、劇症肝炎、脳出血、くも膜下出血などだった。いずれも、医師、看護師同乗にて日本まで搬送した例である。この中で、劇症肝炎の例についてのべた。

これらの実情から中国大陸での緊急医療に対する、医療支援サービス会社の存在意義が高いことがわかった。



中国医療現場より海外渡航者問題への提言

        田中健一 北京天衛診療所

はじめに

 2008年の北京オリンピックに向け中国は経済成長を一段と加速させている。これに伴い、多くの日系企業が中国に生産拠点を移している。北京天衛診療所は、在留邦人の医療不安を軽減する目的で2000年12月に開設され、日本人医師を始め日中の医療スタッフが共同で邦人の診療にあたっている。

方法

 邦人に対する最適な医療制度ならび保健医療サービスを探る目的で、診療所(内科・小児科・婦人科・中国医学・歯科)へ来院した患者を対象に、受診理由、年齢、職種などについて聞き取りを行い、患者の受診動向ならびに疾病動向の分析を行った。

結果および考案

 年齢別構成は成人男性が、職種による構成は企業派遣者が高かった。内科受診者の疾患別分類では呼吸器疾患が4割を占めた。歯科受診者では修復物の脱落が最も多く、受診者のほとんどは自覚症状後の来院であった。

 海外の診療所では一般治療の他、救急時の総合病院への搬送などの仲介機能も必要である。保健所に相当する公衆衛生活動,転任・帰任に際しての継続治療を担当する医療機関への橋渡しも求められている。海外では治療費の支払方法が異なるため、海外療養費で給付できる内容の紹介に努める必要もある。

 来院患者は医師の高い診察能力・技術の他、日本語で受診したいという強い希望を持つため、世界各国において安心して受診できるよう日本語が通じ、技術的に評価できる診療所のリストを作成するための情報収集が官民の枠を越えて求められている。

 本会が在留邦人の健康増進を真摯に考えるなら大所高所的見地から、自分の所属する団体や企業の派遣者のみならず、渡航者全体を視野にいれた施策を提示することが求められる。

連絡先:田中健一 北京市朝陽区南新園西路8号

    TEL: 001-8610-8731-0022 E-mail: bxu00436@nifty.ne.jp



International Repatriation(国際患者搬送帰還)

外国で傷病にかかったとき、どうすれば帰国できるか

・・・医療管理下における搬送帰還・・・

須崎紳一郎

                    武蔵野赤十字病院救命救急センター

旅行先、まして異国で入院した場合の不安は想像以上であり、可能なら早期の帰国を望むのは自然の心情である。しかしわが国では年間2千万人の海外渡航者がありながら、実際の傷病者搬送帰国については依然として知られていないに等しい。International Repatriation(国際患者搬送帰還)は戦傷者の後方移送に端を発し、アフリカなど植民国を抱えた欧州で発達した医療サービスであるが、国民の99%が本国に住む日本では、国内で均一な医療が受けられる影に隠れて、国際化が進んでもこれまでその必要性すら認識されて来なかった。

国際搬送は収容先病院から医療情報を入手し、必要な器材物品を準備して、受け入れ病院、搬送手段(航空便)を手配する必要があり、現地の協力があれば日本からでも不可能でないが、現実には手配調整する専門組織(アシスタンス会社)が利用されている。傷害保険会社の提携紹介が主で、旅行社や海外派遣企業側の認識はまだ薄い。帰国を希望する理由はさまざまである。途上国では受ける医療に不安を抱くのは当然だが、欧米やシンガポールといった医療先進国でも早期帰国の希求は強い。高い医療水準に伴う高額な医療費や家族滞在費といった経済的理由もあるが、まずは言葉の壁が大きく、生活習慣の違いも入院の不安を助長する。

医学的には、呼吸循環が不安定な場合や重症感染症、脳圧亢進状態などは搬送に不適当としても、綿密な医療情報の把握と準備、経験ある医療スタッフの同行によって移送リスクの十分な軽減が可能であり、国際間でも移送困難な状態はほとんどない。むしろ航空移送について知識も経験もない一般臨床医の「航空移送なんてとても無理」との無責任な意見がしばしば隘路になる。

国際患者搬送帰還はその機能が一般旅行者はもとより、旅行社、海外派遣企業、臨床医などにまだ知られていないために、患者が出ても皆、暗中模索に陥っている。国際アシスタンス会社も日本に複数進出しているが、一般に危機意識が薄弱で市民権を得るに至っていない。私達は救急医の立場から、わが国における国際患者搬送帰還の組織化、受け入れ基盤作りを働きかけている。

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須崎紳一郎 Shinichiro Suzaki, M.D.

武蔵野赤十字病院救命救急センター Musashino Red Cross Hospital

180-8610 東京都武蔵野市境南町(きょうなんちょう)1-26-1

Tel:0422-32-3111(病院代表)   Fax:0422-33-2685(救急直通) 




航空機内に搭乗し感染症様症状を呈したケースの実態

土方康義・大越裕分・沼田美和子・牧信子・門倉真人・大川康彦・松永直樹・宮崎寛・野口淑子・加地正伸

株式会社 日本航空インターナショナル 健康管理室

はじめに

航空機内は狭い空間に旅客が密集していることから、感染症罹患旅客から他の旅客へ感染症が伝播する危険が懸念されている。また、短時間で他国へ移動できることから輸入感染症を拡大する危険性も指摘されている。本発表の目的は、機内で発生している感染症の実態を明らかにすることである。

方法

? 2000年4月から2003年9月の42ヶ月間に搭乗中に発熱・下痢・嘔吐・発疹を認めた乗客と客室乗務員を対象とし、症状、年齢、搭乗フライトや発症時期を明らかにした。

? 2001年4月から2003年9月までの30ヶ月間に、保険当局からの通報により降機後判明した肺結核ケースの感染力、搭乗フライトについて調査した。

結果

 乗客においては、42ヶ月の観察期間内で、発熱73例(うち48例は38度以上の高熱)、咳3例、嘔吐29例、下痢22例、発疹7例(水痘3例、麻疹2例)、延べ100例の感染症疑いケースを認めた。平均年齢は28歳(8ヶ月から79歳)で、20歳未満が全症例の37%を占めていた。発症時に搭乗していたフライトは、国内線13例、近距離国際線(フライト時間8時間未満)30例、長距離国際線(フライト時間8時間以上)が55例であった。発症時期が確認された55例の中で、13例(24%)は搭乗中に発症していたが、42例( 76%) の症例は搭乗前に既に発症していた。客室乗務員においては、42ヶ月間で、搭乗中に発熱・下痢・嘔吐・発疹を認めたケースは13例であった。症状の内訳は、下痢13例・嘔吐8例・発疹5例(水痘1例)であった。

 肺結核に関しては30ヶ月間に計11人の肺結核患者が延べ15のフライトに搭乗したことが判明した。感染力に関しては2例を除いてプライバシー保護のために航空会社へは情報が提供されなかった。搭乗したフライトは全て国際線で、8時間以上のフライトが13件、8時間未満のフライトが2件であった。

連絡先:〒144-0041 東京都大田区羽田空港3-6-8 第一テクニカルセンター7階

株式会社 日本航空インターナショナル 健康管理室 土方康義

TEL:03(5756)3471 FAX:03(5756)3580

e-mail:yauyoshi.hijikata@jal.com



海外赴任者に帯同する小児への健康管理

海外勤務健康管理センター 

福島慎二 氏田由可 奥沢英一 津久井要 西川哲男 濱田篤郎 馬杉則彦

[はじめに]

近年、国際化が進み、海外への渡航者が増加する中、特に日本と異なる気候・風土・医療事情の環境下で働く海外赴任者やその家族に対する健康管理の重要性が増している。

「海外勤務健康管理センター」は、海外赴任者の健康管理を総合的にバックアップする国内拠点として、労働福祉事業団が平成4年(1992年)、横浜労災病院に隣接して開設した。

現在、小児科分野としては海外渡航前後の健康診断、海外巡回健康相談、予防接種歴の英訳さらにFAX・メールで医療相談を行っている。

帯同する小児への健康管理の役割・あり方をさぐるため、FAX・メールでの医療相談を、後方視的に検討したので、当施設の活動内容をまじえ報告する。

[対象・方法]

1999年度〜2001年度のFAX・メール相談のうち、15歳以下の年齢層に関する医療相談内容を、後方視的に検討した。

[結果]

 成人も含めて全体としては、一年に約450件数の医療相談の受け付けがあった。15歳以下の医療相談数は1999年に130件, 2000年に160件, 2001年に160件と、全体の医療相談のうち小児分野の相談が3割近くを占めた。相談内容としては、予防接種, 医療相談, 滞在地の医療情報, 乳幼児健診など多岐にわたっており、渡航前の予防接種相談、滞在中の医療相談の相談が多かった。

[考察]

海外勤務者にとって自分の健康に関してだけでなく、帯同する小児に関する健康不安も多く、特に予防接種相談・個別の医療相談への期待が大きいことがうかがえた。

海外勤務者に帯同する小児への健康管理の役割は大きく、関係者にとっては小児に対する知識や相談できる情報源を確保しておくことが必要と考えられた。



当院における海外渡航者の予防接種の現状

        妻鹿久仁子  益田裕子     高松市民病院薬局

                 はじめに

当院では、H9年3月に狂犬病の予防接種を開始したのを機に、その他の任意のワクチンも、予約診療にて実施している。またH13年11月よりマラリアの予防内服薬メフロキンは院外処方で取り扱っている。窓口は薬剤師が担当し予約や相談に応じている。

当院における、海外渡航者へのワクチン、メフロキン投与の現状と対応について検討した。

                 方法

H14年1月からH15年8月までの任意のワクチン、メフロキン投与者88名のうち、海外渡航者39名を対象とした。
海外渡航者の年齢、住所、渡航先、ワクチンの種類、問合せ内容について、予防接種予約ノートとカルテを参考に調査した。メフロキン投与者では服用後の副作用に関するアンケートを回収した。

               結果および考案

1、海外渡航者は20歳、30歳代が多く、県外からの来院もあった。
2、渡航先はアジアが多く、A型肝炎、破傷風、狂犬病ワクチン接種者が多かった。
3、出国までの限られた期間に接種が行われ、複数ワクチンの同時接種も多かった。
4、ワクチン接種後の副作用として注射部位の痒み、腫れが見られた。メフロキン
服用後の副作用として、食欲不振、不眠が報告された。ワクチン、メフロキン
服用者から重篤な副作用報告はなかった。
5、留学生では、感染症予防の他に予防接種証明書の取得を目的としていた。
6、海外渡航者の多い施設(企業、教育機関)に対しワクチン接種者には早めの
準備が必要であることの啓蒙が必要であると考える。

連絡先:760−8538香川県高松市宮脇町2−36−1高松市民病院薬局

     妻鹿久仁子  Tel:087-834-2181   FAX:087-834-2228




ドイツ語圏のマラリア予防ガイドライン

日谷明裕1, 2、木村幹男2

1 善仁会総合健診センターヘルチェック

2 国立感染症研究所感染症情報センター

演題要旨

 ドイツのマラリア輸入症例は年間約1,000例(人口8,200万人)、スイスは約300例(人口717万人)、オーストリアは約80例(人口790万人)と人口に比較して多いが、Urlaubという長期休暇のため旅行者がマラリア流行地域に長期滞在することが理由の一つとして挙げられる。

トラベルクリニックの診療場面においては、予防内服とスタンバイ治療の使い分けが難しく、これには適切なrisk-benefit analysisが必要となる。スイスでは1984〜88年、タイへの一般旅行者には予防内服が勧められていたが、1988年8月よりスタンバイ治療を勧めるようになった。しかし、その後の輸入マラリア症例の増加は認められず、スイス航空クルーを対象とした研究においても同様な傾向がみられたことから、現在では流行の程度が低い地域ではスタンバイ治療を優先させている。

スイスガイドラインは、予防内服としてメフロキン、アトバコン/プログアニル合剤、ドキシサイクリン、スタンバイ治療としてメフロキン、アトバコン/プログアニル合剤、アーテメター/ルメファントリン合剤を勧めている。ドイツガイドラインは、スイスガイドラインに予防内服としてクロロキン+プログアニル、スタンバイ治療としてクロロキン(中米のみ)を追加し、国別情報は季節にまで及び、CDC、英国など他国のガイドラインに比較して綿密である。一方CDCガイドラインでは、スタンバイ治療にはアトバコン/プログアニル合剤のみを推奨している。

 両者のガイドラインは、TakとTratを除くタイ、あるいはミャンマー、ラオス、ベトナムではアトバコン/プログアニル合剤、アーテメター/ルメファントリン合剤のスタンバイ治療を勧め、薬剤耐性が深刻なTakとTratではアトバコン/プログアニル合剤、ドキシサイクリンの予防内服を推奨している。

マラリア迅速診断キットの感度、特異性は優れているが、旅行者が添付書類のみを頼りに実施・判断し、それをもとにスタンバイ治療を行うことについては問題があると指摘されており、スイス、ドイツガイドライン両者とも基本的には推奨していない。しかし、ドイツガイドラインでは、例外として十分な知識を有して訓練を受けた旅行者では可能であるとしている。この場合、結果が陰性でもマラリアが否定できないので、24〜48時間あけて再検することを勧めている。



ヒマラヤなどの高地滞在ではどの程度の低酸素状態になるのだろうか?

増山茂(学)了徳寺学園リハビリ・トレーニング研究所s_masu@za2.so-net.ne.jp

 ヘリコプターでエベレストの頂上(8848m, 大気圧PB=253mmHg)に降り立つとする。次の式が成りたつので、動脈血二酸化炭素分圧PaCO2,呼吸商Rが平地と同じだとすると、肺胞気の酸素分圧PAO2は;

   PAO2?PIO2-PACO2/R=(253-47)*0.21-40/0.9?1mmHg

    (PIO2;空気中の酸素分圧、PACO2;肺胞気の二酸化炭素分圧)

こんなところでは生きてゆけるはずがない。でも、疑問がわく。酸素補給なしでエベレストは登られたではないか。屈強な若者ばかりではない、最近では70歳の三浦雄一郎氏も登頂したではないか。

 彼らが死なないのは、つまりPAO2を高めることができるのは、上の式のPaCO2とRが平地と同じではないからである。実際はどれくらいだろうか?

唯一の答えは、1981年のWest率いる米国エベレスト医学実験隊のデータにある。登頂者の呼気を実際にサンプルして米国に持ち帰り動脈の血液ガスを推定したのである。 なんと、PaO2=28mmHg, PaCO2=7.5mmHgであった。これだって、そうとう恐ろしい数字である。よく生きているものだ。

 エベレストに登る人は特殊例かもしれない。しかし、標高3000m,4000m,5000mにトレッキングにでかける方は日本だけでも万を数える。この高さで働いたり研究に従事する日本人も南米や中央アジアにまれではなくなった。 富士山山頂(387m;PB=480mmHg)でだって上と同じPCO2とRを仮定すれば、

   PAO2?PIO2-PACO2/R=(480-47)*0.21-40/0.9?47mmHg 

となる。なかなか厳しい環境である。

 高所に出かける研究者や労働者、トレッカーの方々、仕事だろうが遊びだろうが、低酸素は怖い。心配になってお医者さんに相談すると、血液中の酸素のレベルをみるパルスオキシメータという便利なものがある、と教えてくれる。パルスオキシメータは軽量安価になった。ほとんどのトレッキング隊がこの器械を携行して、ヒマラヤやらアンデスやらに出かけてゆく。仕事でアンデスに赴く方々も同様である。

 いまや衛星携帯電話がヒマラヤで通じる時代だ。突然病院に電話がかかってきて、「先生、ここは標高4500m、SpO2は70%です。ちょっと頭がいたいんですが、どうしましょう。大丈夫でしょうか。下りた方がいいでしょうか。」

 さて、この問いにどう答えたらいいだろうか。理論的にはさまざまな因子がこのSpO2=70%に関与するであろう。そんなものかなという気もするし、70%なんてとんでもない、すぐ下りなさいと答える方もいるかもしれない。少なくとも私は迷う。

 これにきちんと答えるにはどうするべきか。多くのトレッカーのデータを実際に

集めてみるしかあるまい。この発表では、日本の代表的なトレッキング会社各社が主催するツアーに参加された方々のご協力を得て作成した、高所トレッキングにおける動脈血酸素飽和度SpO2の標準的値を示す。どの高度ならどの程度まで許容できるかの目安になる。どういう方が危ないかも示唆されるだろう。




海外渡航者への保健指導内容の検証〜看護大学での講義実践から〜

波川京子(札幌医科大学)、近藤裕子( 徳島大学)

はじめに

看護系大学のカリキュラムに国際看護学や国際保健学があるが、講義目標は発展途上国への援助活動に視点が置かれていることが多い。海外赴任労働者や長期・短期間海外在住は増加しているが、それらの人々を対象にした講義が取り上げられることは少ない。

目的

 看護大学での講義実践から、海外渡航者に実用的な保健指導の内容を検証し、国際看護学や保健指導論の講義立ての資料とする。

方法

 看護学生に対して海外渡航者の健康に関する講義を実施し、講義後A大学4年生の100名(30時間講義)とB大学3年生の64名(8時間講義)に「関心を持った内容」の記述が得られたA大学100名とB大学63名の内容を分析した。

結果および考察

関心を持った内容は?海外の医療制度、?救急車の位置づけ、海外渡航者の健康に対する看護職の役割、?短期・長期渡航時の所持品、?母子保健制度などであった。今回の対象者は、海外の医療制度や国際看護に関連する科目をすでに履修している。それらの知識を持っているが、海外渡航者の置かれた立場に学生自身が立った時、知識が実践に結びついていないことが明らかになった。また、公費での予防接種や、母子手帳の配布、乳幼児健診制度などの日本の保健・医療制度に関心を持つきっかけになっていた。

まとめ

海外渡航者の健康に関する講義を取り上げる国際看護学や産業看護学などで、旅行者や発展途上国への支援活動に従事する派遣員や在留邦人も対象になる。それらの国別の医療事情や、受診方法、母子保健制度などの実用的な保健指導が学習できるような講義を組み立てる必要がある。

連絡先:〒060-8556 札幌市中央区南1条西17丁目 

札幌医科大学保健医療学部看護学科 TEL/FAX:011-615-0026 

Email:namikawa@sapmed.ac.jp

 ランチョンセミナ(抄録)

活性酸素消去農法による米・野菜の開発について

 秋好憲一

      理学博士 <米国公益法人>予防医学・代替医療振興協会専務理事。
      ルオー株式会社 常務取締役。

  ・・・活性酸素消去農法とは・・・

ルオー株式会社と東北大学が開発したオリジナル農法で、発酵米糠を主体とした
特殊肥料と特別な技法を率いた農法です。この農法により作られる農作物は、
通常のものより、活性酸素が発生しにくい生命力の強い農作物が誕生します。
すでに、米の他に、ほうれん草、ニラ等10種類の野菜の活性酸素消去農法に
成功しています。

  ・・・雷神光とは・・・

雷神光はバイオテクノロジーの権威である東北大学とルオー株式会社が長年の
共同研究を経て開発に成功した世界で初めての活性酸素消去農法による
完全無農薬の健康を考えたお米です。この雷神光の素晴らしさは、健康に良い
のは勿論、美味しさの追求にも怠りがありません。「雷神光」という名前の由来は
東北の農家で言われる通説で「雷の降るところには美味しいお米が出来る」という
ところから名づけた次第です。それだけ食味にもこだわりを持っています。体にやさしく、
しかも美味しいお米を毎日食べる真の贅沢ライフを「雷神光」は皆様に提供させていただきます。
尚、7月12日には八重洲に『雷神光』という名のおにぎり屋がオープンします。
勿論活性酸素消去米「雷神光」を使ったお店です。